昨日「ニコニコドキュメンタリー」というドキュメンタリーチャンネルで、
伊藤詩織さんに密着したBBCの番組『Japan’s Secret Shame』が
日本初放送されるというので予約して見た。
詩織さんの知性と正直さ、ちょっとした挨拶の様子や表情からも
好感の持てる人柄がよくわかったし、『Black Box』を読んだ時とは
また別の、立ち向かう決意や、その奥にうずめいていた感情を強く
感じられた。
BBCがよく追っていて、後半に向かうにつれ胸が苦しくなった。
24時間レイプ被害の相談を受け付けているある民間の支援施設には、
年間6000件もの電話があるというのにのけぞったし、
加害者を特定するために体毛や体液を採取する「レイプキット」は
まず警察に相談しなければ使えないというのは疑問に思った。
レイプされたら、そのままの服装で、トイレもシャワーもせずに、
警察に訴えでなければ証拠を抑えられないということになるけど、
まず現実が受け入れられないし、茫然自失して震えたり、
自分で制御できないような激烈な慟哭の状態になってしまったり、
警察どころか誰かに相談することすら考えられないような精神状態に
なる被害者に、そんな冷静な行動を強いても無理だ。
証拠保全のために警察が付き添う必要があるようだけど、
もうすこし仕組みや条件を考えたほうが良いのじゃないだろうか。
警察での人形を使ったレイプ現場の再現と写真撮影も、私なら
耐えられない。あまりの惨めさに、暗闇の回路にはまって危険な
精神状態に陥りそうだ。
なにより、レイプは赤の他人に突然襲い掛かられてされるもので、
知り合いにされるものではないというような考えが改まらないこと、
「被害者らしく」はっきり抵抗を試みたりわめいたりしなければ
レイプと見なされないというのは本当に問題だ。
痴漢でも「恐怖に硬直して何も言えなかった」という証言は溢れて
いるのに、なぜ理解されないんだろう。もし法的な不備があるなら
見直してほしい。
番組では杉田水脈議員がインタビューされており、いろいろと男性を
擁護する発言をしていたけれども、あまりに異様に見えた。
事件に接して、自分の身内女性や娘などのことが心配になり、
「気を付けて行動しなさいよ」と気を引き締めさせるようなことを
言う感覚までは普通だと思うけど、
現実に被害に遭って訴えている女性の姿を見て、声を聞いて、
「社会に出てればその程度のことは普通にあることでしょ、もっと
自分が気を付けてうまくやりなさいよ」
という感覚で見てしまうのは、レイプ犯罪の肯定だ。
ほかにもいろいろと感じることがあり、後半はずっと胸が苦しかった。
この番組、たくさん見られるべきじゃないかな。
放送したニコニコって偉いな。